もみじ    土井京子様

   
 六月四日、菟田野のもみじ園に見学に行った。
鉢に植えられた数の多さに、あゝ水やりが大変
そうに思い、一本一本すべて種類が違うことに、
私の考えていたもみじ感が変わったなと思い、
園内一回りでこれらすべてを見ることが出来る
なんて、幸せだと思った。

 ほとんどが初めてみた。淡いクリーム色のもあれば、色鮮やかな赤色もあり、上下違う色もあった。
糸のような細い葉や、枝垂れ、葉の大小と一口に
もみじと言っても、その姿は様々で圧巻であった。
説明を聞いてまわるうちに、新緑が美しい、イロハ
もみじと名札が付いた鉢があった。

 子供の頃、多分この種類だと思うのだが、一枚
葉を取り、イロハニホヘト、と言いながらもみじ手
手の部分を数え、「これは食べられる」と言って
食べていた。とにかく山でも里でも家の回りでも、
食べられると聞けば何でも食べていた。もみじも
その一つであった。特においしかったという記憶も
ないが、葉を見つた喜びは徴かに残っている。

 私はもみじと言えば、春は新緑と赤い新芽が出
る二種類だけで、笑われそうだが名前が付いて
いることも知らなかった。

 四月、御所市の高鴨神社に行った。日本桜草
が有名で境内にはたくさんの鉢が展示してあった。
一つ一つに見事な名前が付いており可愛らしく
凛として、気品さえある花を、名前がより引き立て
ていた。それぞれ好みを言い合ったが、私は
「十九の春」を選んだ。小さな花弁は可憐で、空
に向かって今にもとびだしそうな、勢いを感じた。

 もみじにも、葉の色や特徴を掴んで名前が付い
ており、併せて見ると尚興味深い。説明を聞いて
いて、いいなとおもったのは、山で新種を見つけた
人の名前が付いていることだった。私だって二十
歳若ければ、深山に入って、新種を見つけたいと
思った。
   



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